遺産分割協議のお話①
遺産分割協議について少しお話いたします。
遺産分割協議とは何か?
ということですが、その名の通り、
「遺産をどのように分ける(分割する)かを相談(協議)すること」
です。当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが、いくつか気を付けておくべきことがあります。今回述べたいことに絡んでは、以下の点を挙げておきます。
① 遺産分割協議は法定相続人全員で行わなければならない。
遺産分割は、法定相続人全員で行わなければなりません、各相続人が全員、自分が相続人であることを理解して合意しないとならず、誰か一人でも参加しなかった協議は無効であるとされています。
もっともこれは、相続人全員が一堂に会して行わなければならないという意味ではありません。その協議の内容について、相続人全員の合意が形成される必要があるということです。
また、反対に、相続人でない人が参加した協議も同様に無効であるとされています。ですので、協議をする際はまず、法定相続人が誰であるかという判断が最も重要になるということですね。
ちなみに、この「法定相続人」には、「相続の放棄」をした人や、欠格事由に該当した人、相続人の廃除を受けた人などは含まれません。
② 被相続人が死亡する前の協議は無効である。
これは「遺産」を分割する協議である以上当たり前かもしれませんが、被相続人の生前にあらかじめ協議をしていても、被相続人の死後、その相続人は生前の合意に拘束されません。
そもそも、遺産というのは、被相続人の死亡したときを基準としてその内容が確定するので、遺産の内容が確定していないうちでは、各相続人に適切な判断材料が与えられているとは言えないということです。
これは、被相続人自身が望んで協議を事前にさせていた場合も同様です。
①の原則からは、遺産分割は適切な方法で行わないと無効になってしまうこともあるということがわかります。
そして、②からは、被相続人自身の希望であっても、生前の協議に法的効力はなく、もしその意思を実現したければ別の手段、すなわち遺言などで補強しておく必要があるということになります。
次回は遺産分割の適切な方法について書いていきたいと思います。